発刊ごあいさつ
「2003年版日本野球連盟報」刊行に際し、一言ごあいさつを申し上げます。
日本野球連盟では、理事会内に設置している「社会人野球改革検討分科会」が中心となり、引き続き、制度や組織の改革並びに新しい政策の研究に取り組んでいます。
2002年度においては、都市対抗をはじめとする社会人野球制度改革やこれまで特例として規制緩和を進めてきたプロ野球との関係、そして、高いレベルで野球を続けたいとする若者の受皿としての競技環境づくりについて答申がなされ、ある程度の成果を得ることができました。
都市対抗は、昨年、様々な議論を経て出場枠削減という結論に至りましたが、正直なところ、各方面からの評判が芳しくなく、議論を継続した結果、再度、元の32代表に戻すことと致しました。ご批判もあろうかと存じますが、長い歴史や伝統へのこだわりから、改革への取り組みが遅れてきたことを十分省みて、時代に合った施策や改革案があれば、できる限りのスピードで取り入れ、また、皆様のご意見やご要望を伺いながら方向修正も迅速に対応すべきと考えておりますので、何卒ご理解を賜りたく存じます。
プロ野球との関係については、1949年(昭和24年)の連盟設立(当時は日本社会人野球協会)時に定められ、現在まで続いてきた社会人選手の資格要件をはじめとする「いわゆるプロ野球との一線」に関わる各種規程の撤廃、改正に取り組みました。選手登録について一部手続が残りますが、歴史的な背景から半世紀に渡り受け継がれてきた「プロ(退団者も含む)を区別している規程」は根本的に無くなりました。今後においては、高校、大学、専門学校に加え、プロ出身者も含めて、野球の技術を磨こうとする若者や指導者の受け入れに努め、更には、プロ・アマ合同で開催する全日本野球会議共同声明の主旨に則り、引き続き野球振興にも力を注がなければならないと考えています。
また一方では、近年続いている会社登録チームの休廃部とクラブ登録チームの急増という時代の流れの中で、競技スポーツとしての社会人野球はどのような形で役割を果たしていくべきなのか考えなければなりません。長期的な施策になりますが、本連盟では、「21世紀の社会人野球のモデルケース」として4つのモデルを提唱しました。特に競技力の向上という観点から「複合企業型」や「独立法人型」のチームが成熟していけるような環境づくりが今後の重要な課題となります。「東海レックス」(愛知県)や「かずさMAGIC」(千葉県)、そして、NPO法人格取得を目指している「ケイスポーツBBC」(静岡県)などの新たな形態のチームが各地で続々と誕生する傾向にあり、また、ドジャースで活躍している野茂英雄投手が社会人野球チームの運営に出資するという報道もありました。本連盟としては、企業スポーツとしての価値観の拡大を図ると同時に新たな形態のチームの普及と発展を視野に入れた規制緩和や制度改革にも積極的に取り組む所存です。
野球を愛する企業や個人、そして、ファンの皆様のご理解とご支援によって社会人野球は今後も発展していくものと確信しております。様々な形でご尽力をいただいている関係各企業並びに各位の皆様には厚く御礼を申し上げますとともに引き続きご理解とご協力を頂きますようお願い申し上げます。
最後になりますが、関係各社及び各野球部並びに各クラブ登録チームのご健勝とますますのご発展を祈念し挨拶とさせていただきます。
財団法人 日本野球連盟
会長 山本 英一郎