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第16回IBAFインターコンチネンタルカップ

IBAF16回インターコンチネンタルカップ

決勝トーナメントの見所

 

 今回出場の日本代表チームは、社会人・大学生混合チームである。ただ、今回は国内大会を優先し、社会人日本選手権や明治神宮大会に出場した選手を招集しないという編成方針もあり、直前まで代表選手が決まらず、チームとしての練習も出発前3日間しか実施できなかった。こういう状況ではあるが、1973年第1回イタリア大会、1997年第13回スペイン大会以来、3度目の優勝を目指している。

 予選ラウンドでは、第1WBCワールドベースボールクラシックで準優勝したキューバに敗れたものの、チャイニーズ タイペイ、オーストラリア、オランダなど、チームの半数以上の選手がWBC出場選手で占められている強豪国相手に粘り強く勝ち進み、61敗の成績で2位通過を果たした。

 準決勝に進出したのは、日本の他予選1位のキューバ(61敗)、3位オランダ(52敗)、4位チャイニーズ タイペイ(4勝3敗)である。

 まず、日本が決勝に進むためには、WBCメンバー17名を擁するオランダに勝利しなければならない。3月のWBCでは1次予選で敗退したものの、メジャーリーガーを揃えたパナマ相手にノーヒット・ノーランでコールド勝ちした実績がある。また今年のハーレムベースボールウィークにおいても、社会人日本代表チームとキューバ代表Bチームに勝利し、見事優勝を飾っている。近年、確実に力と自信をつけているチームであり、決して侮れない存在である。

 準決勝でキューバと対戦するチャイニーズ タイペイは、予選最終戦をキューバに勝利し、滑り込みでベスト4進出を果たした。開催国でありながら、予選敗退の危機に陥っていたが、1位通過が決定していたキューバのお情け?に助けられた形となった。

12名のWBC出場選手を参加させているが、国際大会にめっぽう強く、活躍が期待されたチェン シン フェン外野手(LA NEWベアーズ)がプロ野球アジアシリーズに参加し、またワン ケン ミン投手(ヤンキース)も召集できなかったため、投打において核になる選手がいない状況である。ただ、伝統的に驚異的な若手選手、特に投手を輩出させている国であるので、準決勝でのキューバ戦が楽しみである。かつては高校生であったシュウ ミン チェ(西武)がキューバA代表に勝利し、アマチュア時代のチャン ズー ジャ(西武)がプロアマ日本代表を抑え込んだ再現を見られるかもしれない。

優勝候補の筆頭は、やはりキューバである。通常、五輪予選など重要大会後の国際大会には、若手中心のB代表を派遣するのが常なのだが、このインターコンチネンタルカップについては、A代表で臨んでいる。これまで長年IBAF国際野球連盟を牽引してきたキューバであるので、プロ野球のWBCだけでなく、アマチュア選手が多く参加するIBAF主催大会も盛り上げ、2016年には野球を五輪に復活させたいというキューバの責任感が表れていると言える。

周知のとおり、キューバは3月のWBC(準優勝)、9月の北京五輪アメリカ大陸予選(2位 北京五輪出場権獲得)と、世界のトッププロ選手たちと互角に渡り合っているチームである。今大会においても弱点は見当たらない。予選7試合の成績を見ても、チーム打率は驚愕の.419、チーム防御率も1.45である。

日本がキューバに勝つとすれば、社会人野球歴16年目の西郷内野手(三菱ふそう川崎 アトランタ五輪代表)、同じく13年目の鈴木内野手(三菱重工長崎 05IBAFワールドカップ代表)、10年目の小山内野手(日産自動車 02アジア大会代表)らが国際経験を生かしてチーム力を高める事と、1997年大会で活躍した上原投手(当時 大阪体育大学、巨人)や高橋外野手(当時 慶応大学、巨人)のような将来の日本野球界を背負える若手ヒーローが出現すれば日本も充分勝利するチャンスがあるだろう。

決勝トーナメントを期待して見守りたい。

 

インターコンチネンタルカップ日本チームの軌跡

(年、開催地、日本成績、優勝国、主な日本選手)

1973イタリア大会  優勝−池谷(日本楽器−広島)

1975カナダ大会   2位(優勝アメリカ)−山本功(ホンダ鈴鹿−巨人)

1977ニカラグア大会 3位(優勝韓国)

1979キューバ    2位(優勝キューバ)

−木田(日本鋼管−日本ハム)、中尾(プリンスホテル−中日)

1981カナダ     6位(優勝アメリカ)−中西(リッカー−阪神)、金森(プリンスホテル−西武)

1983ベルギー       不参加(優勝キューバ)

1985カナダ     3位(優勝キューバ)

−伊東(ホンダ−ヤクルト)、荒井(日本石油−ヤクルト)

1987キューバ    3位(優勝キューバ)

−吉田(たくぎん−南海)、西村(ヤマハ−ヤクルト)

1989プエルトリコ  2位(優勝キューバ)

−与田(NTT東京−中日)、野茂(新日鉄堺−近鉄)、塩崎(松下電器−西武)、古田(トヨタ自動車−ヤクルト)

1991スペイン    2位(優勝キューバ)−新谷(日本生命−西武)、若田部(駒澤大−ダイエー)、大島(日本生命−近鉄)

1993イタリア    3位(優勝キューバ)−杉浦(日本生命)、小久保(青山学院大学−ダイエー)、今岡(東洋大学−阪神)、西(早稲田大学−日本生命−巨人)

1995キューバ    2位(優勝キューバ)−松中(新日鉄君津−ダイエー)、今岡(東洋大学−阪神)、谷(三菱自動車岡崎−オリックス)

1997スペイン    優勝−建山(松下電器−日本ハム)、上原(大阪体育大学−巨人)、杉浦(日本生命)、川上(明治大学−中日)、藤井(近畿大学−近鉄)、阿部慎(中央大学−巨人)、福留(日本生命−中日)、二岡(近畿大学−巨人)、高須(青山学院大学−近鉄)、高橋(慶応大学−巨人)

1999オーストラリア 3位(優勝オーストラリア)−杉浦(日本生命)、藤田(川鉄千葉−阪神)、愛敬(松下電器−近鉄)、的場(明治大学−ダイエー)、阿部(法政大学−近鉄)、沖原(NTT東京−阪神)、鷹野(日産自動車−近鉄)、プロ選手7名:黒田(広島)、岩村(ヤクルト)、浜中(阪神)他

2002キューバ    5位(優勝キューバ)−プロ選手16名:井端(中日)、二岡(巨人)、木元(日本ハム)、川崎(ダイエー)、浜中(阪神)、米野(ヤクルト)他、アマ選手:加藤(神奈川大学−オリックス)、長田(慶応大学−西武)、吉浦(日産自動車)

以上